2013年2月11日月曜日

リムーバブルケースとSATA 6g

ネットをみていたら、ドライブを直接抜き差しできるタイプのリムーバブルケースで、SATA 6Gでリンクしないどころか、転送速度が異様に遅くなるという書き込みをみました。ドライブを直接抜き差しできるタイプのリムーバブルケースは、便利なので僕もいくつか購入して使ってみました。しかし、SATA 3Gのときは、トラブルが少なかったのですがSATA 6Gに移行してからというものは、安心して使えるというものにあたったことがありません。今回は、なぜこのようなことが起きるかということを説明したいと思います。

まず、最初に結論から言っておきます。ドライブを直接抜き差しできるタイプのリムーバブルケースで転送速度が遅くなるというような現象が発生する原因は、「相性」などではありません。SATAの信号品質の劣化です。そしては、これはケースのデキが悪いからほかなりません。

以前、某雑誌でケーブル品質を2000万円ぐらいするLeCroyさんの信号評価装置でチェックしてもらったことがあります。 このときの結果は、かなり衝撃的でした。

ケーブル、マザー、SSD、電源など機器は、すべて同じという条件下で、接続ポートを変えただけで明確な信号品質の違いがSATA 6Gででてきます。具体的に言うと、Intelチップセットの2つあるSATA 6Gポートの内、下段のポート0の方が上段のポート1よりも信号品質が上です。LeCroyさんいわく、最近の2段重ねのコネクタだと、ポート1の方が配線距離が若干長いのでその当たりが効いているのではないかといってました。

また、機材を変更せずに、ドライブを直接抜き差しできるタイプのリムーバブルケース(このときは、2.5インチでした)を間に挟んむと、もっとスゴイことになります。信号品質は、誰がみてもわるほど大幅に劣化し、「こんなに悪いんじゃ、SATA 6Gリンクを張れないこともあるよね」というほど劣化します。ジッターも大幅に増加し、バスタブと呼ばれるお風呂状の曲線も平行に近くなります。いずれにしてもありえないぐらい信号品質は劣化し、見るも無残なことになりました。ただし、これは、SATA 6G機器を接続しようとした時のみです。SATA 3G機器では、まったく問題のない綺麗な曲線になります。

リムーバブルケースが2ドライブ版(2.5インチの場合に多いですよね)の場合は、マザーのポート同様に接続ポートでさらに信号品質が変わります。感の良い方ならすでにわかると思いますが、リムーバブルケースのポート1の方が若干良く、ポート2の方が悪くなります。

SATA 6Gの信号のことを考えて、きちんと設計されたリムーバブルケースならこのような問題は置きないかもしれません。しかし、現状では、そこまできちんと設計されたケースがあるのかどうか、個人的には疑問符が付きます。

ということで、SATA 6Gという規格は、ユーザーが考えている以上に信号マージンが多くありません。特にドライブを直接抜き差しできるタイプのリムーバブルケースでは、この信号マージンの少なさが完全に仇となっています。SATA 3Gで問題なく使えてからといって、SATA 6Gできちんと使えるという保証はないのです。

また、どことは言いませんが、SSDの基盤の設計が他社と比較して若干悪いものも存在しています(半年ぐらいまえの製品です。今もそうかは知りません)。SSDの基板設計が悪いと、リムーバブルケースを使った場合などの信号マージンのギリギリで使ったときにその差がでてきます。たとえば、同じコントローラを採用したA社とB社は、いつでもSATA 6GでリンクするのにC社は、SATA 3Gでしかリンクしないといったことが発生します。

現在発売中のドライブを直接抜き差しできるタイプのリムーバブルケースは、ほとんどのケースで信号品質を劣化させていると考えて頂いて差し支えないと思います。たとえば、センチュリーの「技あり!楽ラック!2.5」などは、僕の環境では、ポート2はSATA 3Gでしか使いものになりません。ポート1は、SATA 6Gでリンクを貼れるSSDもありますが、張れないものもあるという状況です。マザーのポート1と楽ラック!2.5のポート2を接続した場合は、ものによっては1.5Gリンクまででてきます(笑)。

ドライブを直接抜き差しできるタイプのリムーバブルケースをSSDで使うなら、製造メーカーがSATA 6Gでの接続をきちんとサポートしていることも重要ですが、それに加えて、接続に使用するマザーのポート、そしてケーブル(ケーブルも品質差があります)までを慎重に選択することをオススメします。

個人的には、2ドライブ版のドライブを直接抜き差しできるタイプのリムーバブルケースはオススメしません。また、ケーブルは、オウルテックの金メッキケーブルが比較的高品質です。細いラウンドケーブルは、良くありません。また、接続には、マザーのポート0を使いましょう。

2013年2月9日土曜日

東芝 HG5シリーズ

東芝の最新SSD、HG5シリーズのベンチマーク結果やインタビューなどが、雑誌や海外のWebサイトで紹介されつつあります。今回は、国内での単体流通が始まったときに混乱しないように、HG5シリーズにおいて現在判明している情報をいくつか紹介したいと思います。この記事を載せて良いのか個人的には、わかりませんが、HG5シリーズの販売が始まればわかることなので事前に記事として掲載しようと思います。

最初に衝撃?の事実からお伝えします。実は、HG5シリーズには、コントローラの違いによって複数のラインが存在しています。一つは、現時点で東芝のWebページにもアップされているTHSNFという型番のシリーズです。この製品は、現在海外サイトなどベンチマーク結果が掲載されている製品です。コントローラに「Marvell」の文字が刻印されているSSDがそうです。このコントローラには、Marvellの刻印が入っているため88SS9187ベースの改良版かと思われる方もいるかもしれません。しかし、実際の設計は88SS9187とは大きく異なるようです。かなりの部分が東芝のカスタムによるようで、事実上の自社コントローラに近いものといっても良いものだと聞いています。

もう1つが、従来のHGシリーズでもお馴染みだったセミコン社の開発による東芝純正コントローラを搭載したバージョンです。最新カタログに「HG5d」として掲載されている「THNSNH」型番の製品がそうなのではないかと個人的には推測しています。このカタログは、東芝のWebページで入手可能なので、みていただければと思います。

2013.4.28追記
その後、セミコン版はキャンセルされたという情報を得ました。
このため、東芝製SSDは、しばらく、Marvell版のコントローラで行くということになるようです。最終的に誤報になってしまいました。申し訳ありません。お詫び致します。
HG5dに関して別記事にてフォローしたいと思います。

両者の仕様を見比べてみるとわかりますが、若干の変更が加わっています。リードライトともにセミコン版と推測されるHG5dの方が最大速度が若干早くなり、最低容量モデルは、記録容量が64GBから「60GB」へと変更されています。Marvell版とセミコン版でどのぐらい性能が異なるのかはわかりませんが、セミコン版の方が若干ですが書き込み速度等は速いと聞いています。(というか、Marvell版は、サチっているため最大書き込み速度が460MB/secほどで止まっている説が有力だと思います)

Marvell版とセミコン版で、その他の性能差がどれだけ違いがあるのかは、現時点では不明です。同じHG5シリーズなので、個人的な推測ですが、シーケンシャル時の最大書き込み速度以外は、性能的にはそれほど大きな違いはなく同程度だと思います。インタビュー記事などでもでている自社のエラー訂正や擬似SLCモード(リライアブルモード)の活用なども同じように設計されていると推測されます。

ちなみに擬似SLCモードですが、これは、MLC方式のNANDフラッシュにSLCライクな書き込みを行うというものです。MLCモードの場合、上位ページと下位ページの2つのページを書き込みますが、擬似SLCモードでは下位ページのみを使用します。このため、記録データ容量は1ビットになりますが、書き込み速度がメーカーいわく約4倍ぐらい速くなるようです。擬似SLCで使用する領域は、消去ブロック単位で指定でき、消去を行えばMLCモードで使用することもできます。

ただし、擬似SLCモードで使用したからといって、書き込みの保証回数が増えるわけではないようです。これは、MLC方式のNANDメモリは、あくまでMLCとして設計されているからです。SLCとして設計されているわけではないので、評価基準自体がMLCになるためSLCとイコールにはならないというわけです。ただ、eMLCのように書き込みや消去、読み出しに使用する電圧などのパラメーターを条件付き(データ保持期間を短くする)で最適化して、書き込み回数を増やしているケースもあります。このような最適化を擬似SLCモードで行った場合、書き込み回数を増やすことができる可能性をメーカーも否定してはいません。