2012年4月29日日曜日

イマドキのSSDの消費電力(2012年4月版)

ネットを見ていると最近は、SSDの消費電力を気にする方も多いようです。
たまたま、ワットチェッカーが手元にあったので、イマドキのSSDの消費電力を測定してみました。今回は、その結果をレポートしてみたいと思います。

今回チェックしたSSDは、「Plextor PX-128M3P」「Plextor PX-256M3P」「Crcial m4(128GB版)」「Intel SSD 520(120GB版)」「SAMSUNG 830(128GB版)」「東芝 THNSNS120GBSP」の6製品です。同じコントローラでNANDメモリのメーカー違いや容量違いなどをセレクトしたので、現在のSSDの消費電力のだいたいの傾向がつかめるのではないでしょうか。

測定環境は、マザーにASRock社のZ68 Extream4 Gen3を利用し、BIOS設定でC1E、C6 State、SATA Aggressive Link Power Managementの各設定を「Disable」にしています。OSは、Windows 7 Ultimate SP1 64bit版を利用しました。また、Windowsの電源オプションのハードディスクの「次の時間が経過したらハードディスクの電源を切る」の設定は「オフ」、スリープ関係の設定はすべて「オフ」、PCI Expressの「リンク状態の電源管理」も「オフ」です。さらに、SATA LPMの設定は、既定値(オン)のままにしてあります。

余談ですが、上記の設定が、僕が雑誌等でSSDのベンチマークを行うときの設定です。利用しているSSDが、雑誌の結果と大きくかけ離れている場合は、上記の設定を行ってベンチマークを行ってみてください。これでだいたい同じ速度がでるようになるはずです。

また、最大消費電力(Max)は、IOMeterで16KBのランダムライトと1MBのシーケンシャルライトをそれぞれ3分間ずつ行い測定しています。ライトで消費電力を測定しているのは、いろいろ試してみたところリードよりもライトの方が、消費電力が高かったからです。最小消費電力(Min)は、テスト終了後、20分ほど放置してその間の最小値を測定しています。結果は、下のグラフをみてください。


消費電力がもっとも高かったのが、SAMSUNG 830の「5.3W」でした。この数字は、ダントツです。やはり、トリプルコアのコントローラが電力を食っているのでしょうか、イマドキのSSDとしては、かなり高い消費電力といえます。次点は、THNSNS120GBSPの「4.4W」です。THNSNS120GBSPは、連続した書き込みが続くとかなり発熱しますが、消費電力は、発熱の多さほどではないようです。薄いアルミの筐体に熱を流している分、他の製品よりも熱く感じてしまうのではないでしょうか。また、最大消費電力がもっとも低かったのは、PX-128M3Pでした。この製品は、性能の割に消費電力が低い製品といえます。

注目したいのは、PX-128M3PとPX-256M3Pの結果です。書き込み速度が上がれば、それだけ消費電力が高くなることは誰でも想像できますが、想像通り、PX-256M3Pの方がPX-128M3Pよりも「0.6W」ほど消費電力が高くなっています。NANDメモリが異なるので、単純な比較はできませんが、これから推測すると、SAMSUNG 830の256GB版は、6W近い最大消費電力になりそうです。

また、最小消費電力は、Toggle DDRの東芝/SAMSUNGグループとONFiのIMFTで綺麗に別れています。Toggle DDR採用のPX-128M3P/PX-256M3P、THNSNS120GBSP、SAMSUNG 830は、いずれも「0.6W」。ONFiのCrucial m4、Intel SSD 520は、それぞれ1Wと1.1Wでした。消費電力と性能を考えた場合、今回チェックした製品の中でもっともバランスが良かったのは、Plextorの製品ということになると思います。

最後に東芝のTHNSNS120GBSPの発熱についてふれたいと思います。消費電力のテスト前とテスト後の温度をCrystal Disk Infoで比較してみました。結果は、以下のようになりました。


上の画面がテスト前の温度、下の画面がテスト後の温度です。センサーが正しいなら、わずか6分間の連続書き込みで温度が50度まで上昇していることになります。これはかなり高い温度だと思います。通常の利用では、OSインストールやバックアップの復元などを除き、最大速度で5分を超えて連続して書き込みを行うような機会はそれほど多くはないと思います。このため、ここまで温度が上がるケースは、それほど多くはないと思いますが、ノートパソコンで使いたい方は頭の片隅にいれておいた方がよいでしょう。

2012年4月24日火曜日

TOSHIBA THNSNS120GBSPの速度低下について

前回の記事をアップしたあとに東芝の最新SSD「THNSNS120GBSP」をある程度使ったら、シーケンシャルライトの速度が低下したままになるというコメントを頂きました。
このコメントが非常に気になったので、僕の方でもこの現象について検証してみました。今回は、その結果をレポートしたいと思います。

検証は、IOMeterを使って行いました。ライトパターンは、1MBのシーケンシャルライト15秒間です。これをワンセットとして計40回、10分間の書き込みを行いました。その結果が、以下のグラフです。グラフの青の線が書き込み速度、赤の線が総書き込み容量です。


この結果をみてもらうとわかりますが、本製品の場合、公称記録容量(ユーザーデータエリア、本製品の場合111.79GiB)を超える120GiB(グラフではGB表記していますが、GiBです)のデータを書き込むとシーケンシャルライトの速度が約240MB/secに低下し、以降はこの速度のまましばらく推移します。Marvell製コントローラ採用製品では、これと同じテストを行っても、シーケンシャルライト速度が低下することはありません。しかし、Sandforce製コントローラの場合は、必ず、速度が低下するようです。これは、Intel SSD 520の結果から推測できます。


上記のグラフは、Intel SSD 520でTHNSNS120GBSPと同じテストを20分間行ったときのグラフです(計測時間が長くなっているのは、書き込み速度が異なるからです)。速度低下の大きさや速度低下するまでの総データ書き込み量はTHNSNS120GBSPとは異なりますが、Intel SSD 520も同じように速度が低下し、よく似た傾向のグラフとなっています。Sandforce製コントローラを採用したSSDの場合、初期速度と記録容量一周分のデータを書き込んだあとでは、明らかに書き込み速度が異なります。Sandforce製コントローラでは公称記録容量付近まで連続してデータを書き込むと、書き込み速度が低下する仕様なのだと思います。いうまでもありませんが、この状態から初期速度に戻すには、SecureEraseを行うのがもっとも手っ取り早い方法です。

なお、速度低下が始まる総書き込み容量が、THNSNS120GBSPとIntel SSD 520とで異なっています。これは、THNSNS120GBSPの方が、 より積極的に実際に記録可能なエリア(NANDメモリの総容量)を利用する仕様になっているからだと推測されます。

THNSNS120GBSPは、こんな盲点があるとは気づきませんでした。前回記事でコメントを頂いた方に感謝したいと思います。

2012年4月16日月曜日

TOSHIBA THNSNS120GBSP

前作HG3から実に1年以上も経過してしまいましたが、東芝ブランドの最新SSDが発売になりました。早速、120GB版の「THNSNS120GBSP」を購入してきたので簡単に紹介したいと思います。

まず、本製品に採用されているコントローラ「TC58NC5HJ8GSB-01」は、ネットでも話題になっているように自社製コントローラではありません。Sandforce社のSF-2281/2282をベースとしたカスタムコントローラが採用されています。なにをどのようにカスタムしたかの詳細は不明ですが、普通に考えるとメインの機能などはそのままで、NANDメモリの取り扱い部分が変更されている可能性が高いと思います。つまり、東芝製Toggle DDR NANDメモリに最適化したと考えるのが自然でしょう。

余談ですが、本製品は、HG3の事実上の後継製品となるようで2.5インチ版だけでなく、mSATA版なども展開されるようです。このため、近い将来、本製品のmSATA版を搭載したノートPCなども登場すると思われます。

次に各種ベンチマーク結果を紹介します。今回は、ベースコントローラが同じIntel SSD 520とOCZ Technology Vertex3との比較で紹介します。THNSNS120GBSPとIntel SSD 520/Vertex3の違いは、NANDメモリとファームウェアです。THNSNS120GBSPは、いうまでもなく東芝製Toggle DDR NANDメモリを採用(24nmプロセス製造品)し、東芝の手が入ったカスタムファームを採用しています。Intel SSD 520/Vertex3は、いずれもIMFTの製造した25nmプロセスのNANDメモリをONFiの同期モードで使用しています。ファームウェアもIntel SSD 520は、Intelの手が入ったカスタムで、Vertex3が、もっとも独自部分が少ないファームウェアと推測されます。

定番のCrystal Disk Marの結果は、以下の通りです。 THNSNS120GBSPは、これまでのSF-2281搭載した製品は何だったのというぐらいシーケンシャルライト速度が強烈に速く、120GBモデルですら390MB/sec強の速度がでます。この速度は、Intel SSD 520やVertex3との比較で約2倍も速く、350MB/sec前後のPlextor M3PシリーズやSAMSUNG 830よりもシーケンシャルライト速度は高速です。また、Sandforce製コントローラらしく、圧縮が効く0Fillでは、さらに速度が速くなります。ただし、Intel SSD 520と同様でシーケンシャルリードに関しては、若干、Vertex3の方が速いようです。

実環境をエミュレートするPC Mark Vantage HDD Test Suiteの結果もSandforce製コントローラでは、最高の83000オーバーのスコアを実現。このスコアは、Marvell製コントローラを搭載したPlexter M3Pシリーズと同等です。


最後にIOMeterを利用し、4KBランダムライトを30秒間ワンセットで60分間行った場合の速度推移や平均レスポンスタイム、最大レスポンスタイムの推移をグラフ化したものを掲載しておきます。この結果ですが、ベースが同じコントローラとは思えないほどの違いがでました。

特に着目して欲しいのが、平均レスポンスタイムの推移です。Intel SSD 520/Vertex3は、同じNANDメモリを採用しているためか、多少の違いはあるものの同じような傾向を示しています。しかし、THNSNS120GBSPは、それとは全く異なり、常に地をはうようなレスポンスタイムの低さで推移し、途中からレスポンスタイムが大きく増加するというような傾向もでていません。このレスポンスタイムの低さは、現役屈指かもしれません。


また、最大レスポンスタイムも最大値こそIntel SSD 520/Vertex3を大きく超える140ms弱を記録していますが、それを除けば、全体的にIntel SSD 520/Vertex3よりも低く抑えられています。Sandforce製コントローラは、比較的最大レスポンスタイムも低めなのですが、この全体的な低さも現状のトップクラスといえます。


速度推移グラフも、Intel SSD 520/Vertex3が常に安定しているのに対し、THNSNS120GBSPは、速度が低下するまで上下を繰り返すなど多少傾向が異なります。また、東芝製Toggle DDRの方が基本的に高速なのかはわかりませんが、速度低下後も常にIntel SSD 520/Vertex3よりも速めの速度で推移しています。


以上のことからもわかるように、THNSNS120GBSPは、こと速度面に関しては、現在発売中のSandoforce製コントローラ採用SSDの中でもっとも高速な製品です。この差が、NANDメモリの性能差なのか、ファームウェアの差によるものか、その両方なのかはわかりませんが、うまくチューニングされているとことは間違いありません。あとは、致命的なバグなければ良いのですが。そこは、東芝様です。開発体制が大きい(僕の知る限り、SSDの開発体制の大きさではトップクラス。現在大人気の某社の3倍から4倍の人がいます)ので、致命的なバグは潰していることに期待したいと思います。

なお、現在人気のPlextor M3PシリーズとTHNSNS120GBSPの比較ですが、個人的には初期性能はほぼ同レベルだと思っています。あとは、ネットでも言われている速度の落ちにくさですが、Plextor M3Pシリーズは、かなり頻繁にGCを行うことで速度低下を防いでいるようなので、そのあたりでどのぐらい差がでるかだと思います。唯一難点を挙げるとすると、THNSNS120GBSPは発熱が大きいことです。これは、東芝の筐体が薄めのアルミということも関係していると思いますが、ちょっと連続で書き込みを行うとそれなりに発熱します。温度的には、SAMSUNG 830ぐらいは出ていると思います。ノートパソコンでの使用を考えている方は、そのあたりも気を付けた方がよいかもしれません。

2012.4.24追記
THNSNS120GBSPの書き込み速度の低下についての記事を追加しました。