2010年8月28日土曜日

SAMSUNG 470 series SSD 「MZ-5PA064」

先週から流通が始まったSAMSUNG 470 series SSDですが、こだわりのMONOさんがベンチマーク結果を紹介されているのをみて僕も64GB版の「MZ-5PA064」を購入してみました。(TSUKUMOで14980円でした)64GB版を購入したのは、 最近64GB以下のSSDが15000円弱で購入できるようになり、人気がでてきているからです。

MZ-5PA064は、SAMSUNGのサイトにもスペックがあがっていますが、128/256GB版とは異なり、公称ライト速度がMAX170MB/secと多少遅くなります。ただ、遅くなると言っても現状の64GBのSSDの中では、ほぼ最速のスペックの製品です。64GBのSSDでシーケンシャルライトが170MB前後でるのは、この製品と東芝のHG2、HG3、Jmicronのコントローラを使った製品ぐらいではないかと思います。

実際のベンチマーク結果ですが、ほぼスペック通りという感じでした。リードに関しては、128GB版とほぼ同じ性能ですが、ライト性能が全般的に劣っています。また、前作のSAMSUNG製SSDと比較すると、4KBのランダムライト速度が大幅に高速化されている点が目につきます。ただし、SandForce製のコントローラやCrucial、Intelなどでは、4KBランダムライトはもう少し高速なので、それらと比較するとこれでも遅めということになりますが・・・。


せっかくなので、もう1つ。雑誌等でよく使用されるベンチマーク「PC Mark Vantage HDD Test Suite」も行って見たのでその結果も掲載しておきます。比較用にCrucial Real SSD C300の64GBの結果も付けておきました。Crucialは、SATA Rev2.6接続とSATA Rev3.0接続の両方の結果を掲載しています。SATA Rev3.0は、Marvell製コントローラを使っています。結論からいうと、この製品、PC Mark Vantageのスコアは、僕が使用したことがある64GB以下のSSDの中ではトップです。


以上、ざっくりですが、本製品のファーストインプレッションをお伝えしておきます。現在、忙しいので時間が取れたときにでも速度落ちのテストを行ってみたいと思います。SAMSUNGの1世代前の製品では、激しく速度落ちしましたが、今回の製品がどうなっているのかテストしてみたいと思います。

2010年8月25日水曜日

SAMSUNG HD204UIについて

Western Digitalに続いてSAMSUNGからも667GBプラッタを採用した2TBのHDD、「HD204UI」の発売が始まりました。ネットを見ていたら、この製品が初のBigsector4KBネイディブドライブかのような書き込みが見られたので、多分違うだろうなと思いつつも、ちょうど2TBのHDDが欲しかったので購入してみました。

結論から最初に書いておきますが、HD204UIは、確かにBigsector対応ドライブで間違いはありませんが、物理4KB/論理4KBのネイティブデバイスではありません。物理4KB/論理512Bの「エミュレートデバイス」です。4KBネイティブという噂は間違いですので購入時には、ご注意ください。

これは、LBAの総数からも判断できます。僕は、購入時にLBAの「総数」を確認した段階で、エミュレートデバイスまたはこれまでの物理512B/論理512Bの製品のいずれかであることを確信した上でHD204UIを購入しました。お気づきの方も多いと思いますが、HDDやSSDは、本体に貼り付けられているシールに仕様が記載されており、そこにLBAの総数が印刷されていることが一般的です。このLBAの総数にセクターの容量をかければ、総記録容量を導きだすことができます。本製品の総LBA数は、「3,907,029,168」です。これに512バイトをかけると「3,907,029,168x512=2,000,398,934,016」で2TBとなります。つまり、この段階で、Bigsectorのエミュレートデバイスであるか従来同様に物理512B/論理512Bの製品のいずれかであるとしか考えられません。


次は、ベンチマークの結果をお見せします。
Windows7/Vista標準のオフセット2048とWindowsXPで使用されるオフセット63でベンチマークを行ってみました。 結果はご覧のとおりです。512KB/4KBのランダムライトの速度が約半分に低下しています。IOMeterで4KB境界にAlignを設定して5分間ほど4KBのランダムライトを行って見ましたが、ほぼ同様の結果となりました。


4KB Align124.507173 IOPS
Not Align63.516927 IOPS

現在、一般的な物理/論理ともに512BセクターのHDDなら、オフセットを変更しても影響はでないはずですが、HD204UIでは、明らかな速度低下が発生します。このことからもわかるように、本製品は、物理4KB/論理512BのBigsectorのエミュレートデバイスです。

Bigsectorのエミュレートデバイスは、Western Digitalが最初に投入し、東芝も2.5インチHDDを発売済です。SAMSUNGは、3社目の参入メーカーということになります。今後は、BigsectorのエミュレートデバイスのHDDが増加するのかもしれません。

2010/08/27追記
コメントにて、Intel Rapid Storage Managerで論理/物理セクターサイズがどのように返されているかを知りたいという問い合わせがありましたので、調べてみました。
本製品は、論理/物理共に512バイトでセクターサイズを返しています。ただ、この値は、任意らしいので必ずしも正確とはいえません。このため、HD204UIは、Not Align状態で明らかな速度低下が見られることからBigsectorのエミュレートデバイスだと思っております。

2010年8月16日月曜日

僕の知るAdaptecという会社

インプレスのPC WATCHを見ていたら、元麻布さんのAdaptecについてのコラムが掲載されていました。読んでいたたら、色々と昔の話を思い出したので、SSDには関係ありませんが、僕が知るAdaptecという会社の昔話について書きたいと思います。

僕が、Adaptecの製品をはじめて使用したのは、元麻布さんのコラムにもでていたAHA-154xBというSCSIカードです。CPUは、Intelのi486でi386を搭載したパソコンを使っている人もまだたくさんいました。AHA-1540Bは、IBM PC/AT互換機の事実上の業界スタンダードとも言える製品で、それ以外の選択支としては、Bustek(その後、Buslogicに社名変更し、Mylexに買収された後、現LSI Logicに買収されました)とNCR(元はAT&Tで、その後、韓国のHyundaiあたりに買収されて、Symbios Logicになって、最終的には現LSI Logicに買収されました)ぐらいだったと思います。

当時の僕は、基本、SCSI派でして、HDDといえば、もっぱらSCSIでした。そのときは、まだ、1ユーザーでしかありませんでしたが、Adaptecという会社のことを色々、聞くようになったのは、僕がライターをはじめてからです。

というのも、僕は、光ディスク専業のライターをしていた時代が長く、CD-Rドライブを2xの時代から使用していました。まだ、CD-RWすらなかった時代で、CD-Rドライブの価格は、安価なものでも20万ぐらいしていました。ディスクは、1枚1500円ぐらいだったと思います。Adaptecは、光ディスクのライティングソフトの会社としては、草分け的な会社?だったこともあり、どうしてもAdaptecが切っても切り離せなかったのです。

その中でも僕が今でも鮮明に覚えているAdaptecの話は、当時、Adaptecが繰り返していた買収の話です。というのも、Adaptecが当時販売していたライティングソフトは、Easy CDといいますが、このソフトは、もともと、Incat Systemsという会社を買収して得たものでした。Incat Systemsは、イタリアのソフト会社でCD-R用のライティングソフトを開発した経緯は、フィリップスの依頼によるものだったとIncatの主要開発者の方から伺っています。

かなり昔の話になりますが、Incatがライティングソフトを開発していた当時は、ビデオCDの規格化を行っていたときで、ビデオCD用のマスタリングソフトを欲していたのです。Incatは、それに答える形で、ライティングソフトの開発を始めたというわけです。それを買収して、販売したのがAdaptecだったのです。

余談ですが、Incatの開発したソフト、というか、Incatの開発者の方は、非常に優秀な方が多く、結果として同じ人の手によって開発されたライティングソフトが、2度ワールドワイドでシェア1位になります。それ以外にも、同僚だった方のソフトがあり、それもOEM向けなどで今でも使われているライティングエンジンの提供元にもなっています。現在のシェアはわかりませんが、一時期、CDやDVD記録エンジンの大半は、Incat出身者が作成したものだったというのは、あまり、知られていない事実です。

ちなみに、国内では、B's Recorder GOLDが多くのユーザーに使用されましたが、B's Recorderは、僕の今でも付き合いのある友人がひとりで作ったライティングソフトです。

話が脱線してしまいましたが、当時のAdaptecの企業買収について僕が鮮明に覚えているのは、僕の光ディスクの師匠が言ったこの一言です。Adaptecは、「市場を買ったんだ」。

もう、今の若い方には当然と聞こえるかもしれないこの一言ですが、当時の日本は、企業買収というのは「悪こと」というイメージがありました。ですが、彼ら(Adaptec)はまさに市場をお金で買っていたのです。

というのも、Adaptecは、Easy CDでそれなりにシェアを得ましたが、実は、当時、北米市場では2位の座に甘んじていました。当時の北米市場のトップは、コーレルのCD Creatorというソフトだったのです。しかも、このソフト、エンジン的には色々と問題があったようですが、UIが非常に良く、人気の商品でした。Adaptecは、コーレルからCD Creatorを買収します。しかも、CD Creatorの技術者は、一人もAdaptecには、着ていません。これからも分かるように、Adaptecは、コーレルから市場を買ったのでした。これによって、Adaptecは、北米市場のトップに立ちます。

同じことをAdaptecは、ヨーロッパでもやりました。CD Creatorの買収によって、北米市場と日本でシェアトップにたったAdaptecでしたが、ヨーロッパ市場では、CeQuadratという会社のWinOnCDというソフトに勝てずにいました。そこで、CeQuadratを買収したのです。

WinOnCDがヨーロッパでトップだったのには、諸説ありますが、一説には笑い話とも取れない営業方法があったと僕は聞いています。その営業方法とは、若くて綺麗なおねーさんが、ミニスカートで営業に行き、何も聞かずに「Adaptecの半値で出します」といったとかいかわないとかという話です。若くて綺麗なおねーさんがミニスカートでというところは、実際どうか知りませんが、WinOnCDのOEM価格がAdaptecよりも安かったことは事実のようです。

Adaptecは、唯一勝てずにいたヨーロッパ市場で、WinOnCDを買収することで名実ともにワールドワイドでシェアトップのメーカーとなります。そして、冗談とも取れないのが、そのときのプレスリリースでした。Adaptecからでたプレスリリースには、ソフトがどうこうとは全く書いてなく、「CeQuadratの独自のマーケティング手法が云々」と書いてあったのです。ぼくは、若くて綺麗なおねーちゃん、ミニスカート、半値、この3つのキーワードが頭の中でぐるぐる廻っていたことを覚えています。ようするに、彼らは、ここでも市場を買ったのでした。

この話には、続きがあります。
Adaptecは、市場を買うことでシェアトップになりましたが、彼らには技術者が付いてきていませんでした。Easy CD、CD Creator、WinOnCD、と初期の開発メンバーはほとんど残っていなかったのです。それに加えて、ライティングソフトのプロダクトリーダーは、AdaptecのSCSIカード用のデバドラの開発者が担当していたようですが、優秀だったそのデバドラ開発者が、ぞくぞくと転職していきます。

結果として、ソフトのできが悪くなり、シェアトップの座を別のソフトに明け渡すことになります。劣勢になったAdaptecは、一度、退社した人をさらに引き抜き、てこ入れを図りますが、結果は、伴いませんでした。

そして、彼らをシェアトップから引きずり落としたソフトは、皮肉にも前述したIncat出身者の手によるものでした。そのソフトも、買収に継ぐ買収で、最終的にソニックソリューションズの手にわたります。そして、ソニックは、AdaptecからスピンオフしたRoxioを買収します。最終的にソニックが手にしたものは、同じ人達がもともと開発したソフトだったということになります。

ライティングソフトの世界で、2度ワードワイドシュアトップの座に付くソフトを開発した旧Incatの方の話はまた別の機会に書きたいと思います。