2010年4月11日日曜日

MACH XTREME Tech MX-DSのSecureEraseについて

SandForceのSF-1200を採用しているMACH XTREME TechのMX-DSシリーズをちょっとだけですが、使う機会がありました。そのときに気がついた点を今回はレポートします。

まず、SF-1200を採用したMX-DSですが、先に登場したG-Monster2 SFV1とは異なるファームウェアを使っているようです。(G-Monster2は、「232A11F0」ですが、本製品は、「302A13F0」です)このためか、初期状態のベンチーマーク速度は、SF-1500採用のG-Monster2 SFV1とほぼ遜色ありません。(ベンチマークを見る限りでは、大きな差はない感じでした。PCMark Vantage HDD Test Suiteの結果は、逆にSF-1200の方がよいぐらいです)

ただし、ファームウェアが変わったためか、「SecureErase」を行うと、少なくとも僕の環境では、問題が発生しました。それは、SAMRTがおなしな挙動をするようになったことです。この製品も、SecureEraseを行えますが、その手順は、G-Monster2 SFV1と同じ方法でしか行えません。具体的に説明すると、HDDEraseを使う場合は、システム起動後に本製品を接続することでSecureEraseを行え、LunixのHDPARMを使う場合は、途中でホットスワップすることで行えます。

問題は、その後です。まず、最初に起きたのが、BIOSのSMARTチェックで常にエラーが表示されるようになりました。最初は、いきなりエラーが表示されてびっくりしましたが、じっくりと画面をみているとSMARTでエラーがでていることがわかりました。そこで、色々なツールを使ってSMARTがちゃんと動作していないかチェックしてみましたが、コマンドそのものは、普通にEnableに設定されており、問題なく動作しているようです。問題は、その内容です。


Crystal Disk Infoで内容をみてみると、G-Monster2 SFV1で、リードエラーレート(01)とECC回数(C3)と表示されている情報の内容が同じになっていました。しかも、この数値、電源をOFFにすると0に元に戻り、しばらく使っているとどんどん数値が上がっていき、Crystal Disk Infoの情報を更新するだけで上がります。もちろん同じ数値で。加えて、不良ブロック数(05)の生の値が540になっています。


このような現象が起きるとは思っていなかったので、初期がどうだったかはみていません。しかし、そもそもBIOSでSMARTのエラーが表示されること自体はなかったので、おそらく、SecureEraseしたことによって、情報がおかしくなったのではないかと思っております。

というのも、この状態でOSをインストールして使ってみましたが、特に問題がでることなく使用できていますし、ベンチマークを実行しても速度が落ちたなどの現象は発生していません。数値どおりのリードエラーレートなら何かしらでてもおかしくないと思いますが、サラッと使ってみた限りでは特に問題はでていないような感じでした(もっとハードな使い方をすれば違うかもしれませんが)。 個人的な印象では、SSD自体の動作自体に問題はないような感じで、SMARTの数値のみがおかしくなっているという印象です。

これが僕の環境のみで発生した現象なら、テストしたSSD固有の現象ということで問題はないのですが、SSDに問題がないとしたら、他の方でも同じような現象がでる可能性もあります。このため、とりあえず、本製品でSecureEraseを行うことは推奨しません。もし、怖いもの見たさでSecureEraseを行い僕と同じ現象が出たという方がいたら、報告していただけたらと思います。

2010年4月6日火曜日

BDXL(High Capacity Recordable and Rewritable discs)について

昨日、BDAからBDXLなる4層BDのリリースがありました。
いまさら、光ディスクではないと思いますが、もともとの僕の得意フィールドだったので、今回は、BDXLなるものについて書きたいと思います。

BDXLは、なんてことは無い現状のBDの1層あたりの容量を増やし、多層化したBDです。ですが、少々工夫を凝らし、高密度化を図ったようです。BDは、線密度の違いから23,25,27GBの3種類の容量が規定されていましたが、今回のBDXLは、3層で100GB、4層で128GBとなっています。

BDXLの高密度化は、おそらく、今は亡きHD DVDと同じ信号処理系PR(1,2,2,2,1)を前提にしたのだと想像されます(従来のBDは、PR(1,2,2,1)です)。というのもBDは、当初からHD DVDと同じ信号処理系を採用すれば、1層あたり35GB前後まで行くといわれていました。実際、学会発表でもどこかのメーカーがBDと同じ光学系で40GB弱の成果を発表していたと思います。35GBクラスの発表は、HD DVDを推進していた東芝もNA0.85で発表していたはずです。

また、BDの1層あたり27GBメディアが規格のみで登場しないのは、メディアの設計が難しいからです。以前、某メディアメーカーの方に話を伺ったことがありますが、27GBは、理論限界付近にあるため、できたとしてもものすごく高価なメディアになるといっていたことを今でも覚えています。(そのまえにできないかもともいってましたが・・・)

今回のBDXLは、前提とする信号処理系が現在のBDとは異なると思われますので当然ですが、互換性はありません。ただ、ドライブの設計としては、光学系には大きな変更はないと思われますので、おそらく、ドライブの価格は、それほど上がらないのではないかと個人的には予想しています。

実際、今は亡きHD DVDでも3層のTLの規格を策定していましたが、3層になったからといってドライブの価格が大幅に上がる予定にはなっていませんでした。それどころか、それまでのドライブをカスタムすることでも対応できていたと思いますので、ドライブ自体は、4層になったからといって大きな価格変動はないと思います。ただ、前述したように少なくとも信号処理系に手が入っていると思いますので、それに対応したLSIを搭載しないとBDXLを読み出せませんが・・・。

また、BDXLは、リリースによると当初は、医療用などの業務向けとして規格化されるようですが、コンシューマ向けへの展開も考えているようです。ここは、断言できますが、記録メディアの価格は、べらぼうに高くなると思います。というのも、4層BDは、単純に層を重ねればよいというわけではありません。記録層と記録層の間のスペーサー層の厚みを均一にしてしまうと、他の層に反射したレーザー光が、迷走して読み出しの障害になるからです。これを回避するために4層BDでは、スペーサー層の厚みを微妙に変えて配置しなければなりません。

BDは、もともと厚みムラに弱いので、この微妙に厚みを変えて配置というは、歩留まりに影響を与えると思っています。しかも、BDは、トータルの厚みが1.2mm、保護層の厚みは0.1mmと規定されており、すべての記録層は、この0.1mmの中に配置しなればなりません。つまり、記録層を増やすとその分、本来の保護層の厚みが減ります。なんか、考えただけでメディアを作るのが難しそうです。

実は、僕は、4層とかのBDが本当に規格化されるとは思っておりませんでした。コンシューマ向けとしてはメディアの価格が高くなるだけで特にメリットが見えなかったからです。(今回発表された業務用というならメディアの価格をある程度無視できるので、ありだと思いますが・・・)
ちなみに、今でも同じことを思っています。たとえ、コンシューマ向けにでたとしても1枚数千円する記録メディアなら、HDDでもかった方が個人的にはよいような気がします

2010年4月5日月曜日

SSDコントローラメーカーの課題

多くの方がご存知のように、SSDを構成する主要パーツは、「NANDメモリ」と「コントローラ」です(ほかにも外部メモリを搭載することが一般的ですが、外部メモリは無くても設計できるのでここでは省かせていただきました)。なかでもコントローラは、SSDの性能を決める部分でもあるので重要です。今回は、SSDコントローラを設計しているメーカーならではの課題について書きたいと思います。

まず、現在のSSDですが、大きく3つに大別できます。
最初が、NANDメモリとコントローラの両方の開発設計、製造を手がけているメーカー。つまり、自社でSSDを完全開発できるメーカーです。代表的なメー カーとしては、SAMSUNGや東芝が挙げられます。Intelもそうじゃないかという声が聞こえてきそうですが、Intelのコントローラは、 Marvelが開発したものという話を業界関係者から昔からよく聴くので敢えて省かせていただきます。(本当かどうかは僕が裏をとったわけではありませ ん。あくまでそういう話をよく聴くという話です)

次が、NANDメモリまたはコントローラのみの開発を手がけているメーカーです。この形態のメーカーは、基本的に裏方に徹しており、自社でSSDを製造販売しているところは現時点では少ないと思います。代表的なメーカーと しては、JmicronやIndilinx、PHISON、INITIO、Sandforce、MarvelなどのコントローラメーカーとMicronなどのNANDメモリメーカーです。

最後が、NANDメモリやコントローラを買ってきて、SSDを製造販売 しているメーカーです。SSDは、通常、コントローラメーカーが基盤のリファレンスデザインとファームウェアを提供しています。このため、この形態のメー カーは、多数存在しています。国内の有名どころでは、OCZやバッファロー、PhotoFastというところです。

前述したコントローラメーカー課題とは、すばり、NANDメモリへの対応です。
あまり多くは、語られていませんが、現在のSSD向けコントローラは、すべてのNANDメモリに対応出来ているわけではありません。例えば、昨年人気になったIndilinxのBarefootの初期リビジョンは、SAMSUNGのNANDメモリの専用品のようなものです。現在は、Intel等にも対応し対応NANDメモリの種類を増やし、NANDメモリのマルチベンダー化を進めていますが、完全ではありません。

また、東芝のコントローラは、いうまでもなく東芝製NANDメモリに最適化されており、他社製のNANDメモリへの対応は、基本的に行われていないはずです(外販の予定もないので当然だと思います)。SAMSUNGも同様だと思います。また、僕の想像ですが、おそらく、現状のMarvel製コントローラもIntel/Micronにあわせて設計されていると思います。(今後は、分かりません)
現状もっともNANDメモリのマルチベンダー化が進んでいるのは、Jmicronかもしれません。Jmicronは、当初SAMSUNG製のNANDメモリを採用していることが多かったのですが、現在では、東芝やIntelも使われるようになっています。

NANDメモリは、各社で仕様が異なっているので個別対応が必要です。NANDメモリのマルチベンダー化は、いうまでもなく、開発の負担が増えます。しかし、コントローラやNANDメモリを購入し、SSDを開発販売しているメーカーは、NANDメモリのマルチベンダー化を望んでいます。これは、使えるNANDメモリの種類が増えることでより安価なNANDメモリを選択できる可能性が出てくるからです。

コントローラメーカーは、より多くのメーカーに採用してもらうためにもNANDメモリのマルチベンダー化は、事実上必須と言えるでしょう。しかし、どこまでサポートすれば良いのかという点には難し判断が残ります。というのも、開発負担が増えるので、コントローラメーカーは、できるだけ対応NANDメモリの種類を増やしたくありません。しかし、NANDメモリは、微細化が進むごとに新たな対応が必要です。NANDメモリは、微細が進むことでエラーが増えるためより強力なエラー訂正を行う必要がでるからです。

このため、コントローラメーカーは、最新のNANDメモリがでるごとに新たな対応が必要になります。今の段階で、少なくとも40nm世代と30nm世代の対応が必要です。Intelは、すでに20nm世代を準備していますので、下手をすると3世代の対応が必要となるかもしれません。これを複数のNANDメモリベンダーでやろうとするとかなりの大変だということが想像できます。NANDメモリの種類をどこまでサポートするのか、コントローラメーカーは、これから悩まなければなりません。

また、NANDメモリ自体の速度もメーカー間で差があります。NANDメモリのマルチベンダー化が進んだコントローラでは、どのメーカーのNANDメモリが搭載されているかで売れ行きが変わったりすることもでてくるかもしれません。